20240124  断熱材は厚いほどいいの?

伯母宅の解体現場を見てみると
断熱材は入っていません

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1969年(昭和44年)には
木造も住宅金融公庫(現住宅金融支援機構)の融資の対象となり
木造の防寒住宅というのも公庫融資で増えたそうです

第四次中東戦争の影響から
1973年(昭和48年)に第一次オイルショック
イランでの革命から
1978年(昭和53年)に第二次オイルショックが起こり

原油が高騰し日本でも石油危機になり
トイレットペーパーの買い占め騒動などがおこりました


当時住宅業界でも製材が約2倍にも値上がりするなど
大きな影響を受けたと言われています

そしてオイルショックによって灯油の値段が跳ね上がり

寒冷地に住んでいる人たちにとっては死活問題となります

灯油を節約しながら、暖かい家に住みたい
省エネの家が出来ないかという声がどんどん大きくなり

1979年(昭和54年)
日本で初めて「省エネ法」というものが制定されます

建築の分野では
翌年の1980年(昭和55年)に
「省エネルギー基準」が制定されました。
(通称:「旧省エネルギー基準」とか「昭和55年基準」と呼ばれているものです)

断熱材の歴史を見ると
昔は厚くすれば、厚くするほど暖かくなるという発想のようでした

しかしある段階から断熱材をいくら厚くしても
あまり効果がないばかりか
「ナミダタケ事件」という大問題が起きてしまったのです

1978年(昭和53年)ころにはメディアでも取り上げられた大事件
新築3~4年目の住宅の床下に大量のナミダタケが発生し
床が腐って落ちるという事例が頻発したものです
(ご存じない方は調べるとびっくりする映像がでてきます)


沢山の論文があるのですが
数ある要因のなかで、大きな原因の1つが「結露」です

このナミダタケ被害の発生した建物の特徴の一つに
床下換気孔の数が少ない、もしくは小さいということが挙げられています

1983年(昭和58年)
日本建築学会北海道支部の中に
木造在来工法の改良に関する研究小委員会が発足され

この研究では実際の住宅の調査のほか
実物大の実験棟など大掛かりな研究の果てから
木材が腐ることの原因を
「壁の中を床下から冷たい空気が流れることにある」と突き止めました

断熱材だけ厚くしても性能は上がらず
むしろ壁の中や天井裏で大量の結露を引き起こし、
それが「木材が腐る原因」に繋がることを究明されたのです

この問題を解決するために考案されたのが、
現在では当たり前となった
「通気層工法」「防湿気密層の連続」といった考えです

この研究の成果は、1985年(昭和60年)に学会で
「新在来木造構法」として発表されています


「通気層工法」や「防湿気密層の連続」を学校では習っていない
女子中学生や女子高生でも基礎周りの雪寄せをして
通気を確保しマイホームを守る教育をされているオーナー様宅の基礎周り↓

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長々と書きましたが

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それではまた

田澤 妙子

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